『協会名鑑』編集部です。「社会を変える協会特集」第30回は、特定非営利活動法人として活動されている日本行動障害支援協会様を取材させていただきました!
Q. 日本行動障害支援協会は、どんな協会なのでしょうか?
日本では、知的障害のある方の約1%に強度行動障害(破壊、攻撃、自傷、極端なこだわり等)があるといわれています。当協会は、強度行動障害の対処法として鎮静薬・身体拘束・罰を使わず、なおかつ効果の高い「適切行動支援(英語名:Positive Behavior Suppport)」の普及・教育・相談事業を全国規模で進めています。
Q. 日本行動障害支援協会は、どのような想いやきっかけで設立されたのですか?
当協会は、英国行動障害支援協会を母体とし、平成27年度に活動を開始、平成29年8月に特定非営利活動(NPO)法人として認可されました。英国行動障害支援協会は1997年に、行動障害児の母親が、自宅の車庫を事務所にして始めました。当協会も資金0円でスタート。オンライン事務所経営で、徹底して運営経費を削減し、収益をすべて支援サービスに回しています。英国では、重度知的障害や強度行動障害があっても収容型施設や特別病院ではなく、通常の地域社会で適切に支援を受けながら暮らすことができます。そのほうが地域社会が生き生きと活性化します。英国でできるなら、日本でもできるはずです。現在、英国行動障害支援協会及び英国ケント大学ティザードセンター(知的発達障害学術研究機関)と支援技術・情報の提供など、協力体制を構築しながら事業を展開しています。
Q. 日本行動障害支援協会は、普段どのような活動をされているのでしょうか?
当協会では、強度行動障害のある大人やお子さんのご家族、特別支援に携わる先生、福祉関係者、ボランティア支援者に向けて、行動障害の理解・予防・安全な対処に役立つ情報をホームページより発信しています。また、『罰』を使わずに問題行動に対処する方法「適切行動支援(PBS)」普及のための研修会(5月・10月)、保護者や福祉関係者向け個別・グループ相談、訪問支援、メールでの無料相談を行っています。また、支援者が身近な地域で相談が受けられるように、地域行政や他の支援団体と連携を目指しています。H30年5月9日の研修会(横浜市発達障害者支援センター主催)は69名の応募者(満員)で締め切りました。
当協会の支援アプローチ:
英国の保健福祉機関で推奨されている予防介入プログラム(適切行動支援:Positive Behaviour Support)を使います。
投薬による鎮静化、身体拘束、罰を使いません。
応用行動分析に基づく行動療法と環境調整を基本としています。
行動機能アセスメントの結果をもとに、一人一人に合わせた適切行動支援の方法を紹介します。
Q. 最後に『協会名鑑』読者の皆様へメッセージがありましたらお聞かせください。
当協会では、知的障害のある方の困った行動、理解不可解な行動に関するお問い合わせやご相談を、Eメールにて無料でお受けしています。言葉がほどんどなく生活全般に助けを必要とする重度知的障害のあるお子さんや大人の方が、頭をたたく、手や腕をかむ、誰かを殴る、わめく、物を投げる、壊す、食物でないものを食べる、固まる、同じ動作を繰り返す、何かに執拗に執着している等の行動を頻繁にとり、どこにも相談する場所がなく悩んでいる方、匿名でも構いません。お気軽にご連絡ください。また、知的障害分野で働かれた経験のある「行動機能分析」のできる心理士、「感覚検査」のできる作業療法士、「コミュニケーション力の検査」のできる言語療法士の方で、当協会の支援活動にご協力いただける方(仲間)を募集しております。